ご案内
「ねえ、アンタも見に来ない?」彼の誘いに驚いた。
彼の雄姿を応援するとは、なんとも、私には似合わない絵である。
「え〜、面倒くさいなあ」「そう言わずに、一回くらい」ほかの選手のカノジョたちも、応援に来るというのだ。
「代打のチャンス、ないよね」ヤボッたいTシャツとジーンズで球場へ顔を出すと、ピッチャーのカノジョ、という女の子が、女友達2人を引き連れてやって来ていた。
明るい色のスカートを履き、髪にリボンをひらめかせ、女の子らしい笑顔を振りまいている。
女の私が見てもとてもチャーミングだ。
私は他人事のように感心し、「すばらしい。
やっぱ、カレシの応援とは、こうあるべきだ」と思った。
私ときたら、試合の楽しみ方もなっていなかった。
目の前のゲームを見ながら、つい、テレビで見るプロ野球と比べ、野球ってのは、やっぱり難しいスポーツなんだなあ。
私は基本的にはインドア派だが、スポーツを観戦するくらいなら、やるほうが好きだと思うタチだ。
応援だけ、をするのはなんだかつまらない。
「がんばって、いいとこ見せるからさ」そう言われると、落ち着かないじゃないか。
私は、意外に恥ずかしがり屋だ。
晴れの舞台であるピアノの発表会でも、できることなら綴帳を降ろしたまま、鍛帳の奥で演奏させてほしいと願うような子供だった。
雄姿を見に来てほしい、といわれると、そんな自分の気持ちを思い出し、ドギマギしてしまう。
それでも、応援には出かけて行った。
隣りに座ったピッチャーのカノジョは、というと、ストライクの入らないピッチャーに「ドンマイ!」と声援を送り、頻発するエラーに「惜しい!」と悔しがり、投げても打っても遅いボールを、必死で目で追っていた。
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